大判例

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東京高等裁判所 昭和62年(ネ)3575号 判決

第一審判決に対する控訴は、その判決が当事者にとって不利益な場合にのみ許されるものであり、全面勝訴した原告は原則として控訴の利益を欠くものというべきである。

これを本件についてみると、控訴人は、原判決において、その主位的請求を全部棄却され、被控訴人鈴木千代子の控訴人に対する請求につき一部敗訴の判決を受けたけれども、予備的請求を全面的に認容された判決を受けたところ、控訴人は主位的請求棄却部分及び被控訴人鈴木千代子の請求認容部分については不服申立をせず、全部認容された予備的請求中被控訴人らに対し金銭支払を求める部分につき原審口頭弁論終結後の事情に基づきさらに請求を拡張する目的のみのため控訴を申し立てたものであるが、当事者が全部勝訴の判決を得た場合に、控訴審で請求を拡張するためにのみ控訴を提起することは原則として控訴の利益を欠き許されないものと解するのが相当であって、このことは判決において一部敗訴を受けたにもかかわらず、この敗訴部分については控訴による不服の申し立てをしないで、その勝訴部分につきさらに請求を拡張する目的のみで控訴による不服を申し立てる場合にも同じに解すべきであり、ことに右勝訴部分の原判決の判断につきその不当であることを理由とすることなく、原審口頭弁論終結後に新たに生じた事情を主張して請求を拡張することを目的として控訴を提起することは、その控訴の利益を欠くものというべく、他に本件につき控訴の利益を首肯するに足る特段の事情もない。

(舘 牧山 小野)

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